ポーランドのとある海辺の街で暮らす「弁護士」がこの物語の主人公です。
彼は、綺麗な一軒家で10代の一人息子と暮らし、健康も良好で礼儀正しく、いつも小綺麗な格好をしていて、誰の目から見ても不自由のない暮らしを送っていました。
しかし、彼は突然の事故によって妻が昏睡状態になるという悲劇に遭ってしまいます。
眠り続ける妻を必死に看病する彼の姿を見て、周囲の人たちは同情し、優しく接するようになります。
毎日差し入れを届けてくれる隣人、彼の気持ちに寄り添う秘書等、様々な人達から親切にされることに心地良さを感じ、次第に依存していきます。
そんなある日、昏睡状態だった妻が長い眠りから目を覚まします。
もちろん、彼も周囲の人たちも彼の妻が目を覚ましたことを心から喜びます。
しかし、彼は周りの人たちからの親切がなくなったことに落胆していきます。
「再び周りから優しくされたい。」
「もっと不幸なことが起きれば優しくして貰えるはずだ。」
そう考え始めた彼は、ゆっくりと壊れ始め、ついに暴走を始めます。
2021年10月に公開された今作「PITY ある不幸な男」は、物語の舞台であるポーランドとギリシャの共同制作で作られた作品です。
「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」でカンヌ国際映画祭脚本賞を受賞したエフティミス・フィリップが脚本を担当したサイコスリラー作品として注目を集めました。さらに、ギリシャの新鋭としてこれからの活躍が期待されているバビス・マクリディスが監督を務めた作品でもあります。
日本でも注目度が高い作品で数多くの映画ファンが視聴した作品となっています。
日本での評価としては「主演のヤニス・ドラコプロスの怪演」が特に高い評価を得ています。
一見普通に見える中年男性の異常な思考・行動にゾワゾワとした恐怖を感じたという声が多く集まっています。
また、サイコスリラーというジャンルでありながら、映像の綺麗さや劇中で使用された音楽の親和性等、映像作品としてのクオリティも高いと評判になっています。
主人公である弁護士の心情を表すかのような絶妙なタイミングで流れる楽曲は要注目です。
さらに、劇中で度々使用されたスチル写真のような演出等、斬新な技法・表現方法を積極的に取り入れている点を評価する声も多くありました。
本編を視聴する前とした後では、タイトルである「PITY(哀れみ・残念)」の感じ方が180度変わるとも言われている何度も楽しめる作品です。
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